給付をあきらめない!b型肝炎の給付請求と除斥期間の関係を知ろう

自身には何らの責任もないのに、予防接種の不備などが原因になってb型肝炎ウイルスに感染している方は多数にのぼります。現実に発症している場合はインターフェロンによる辛い治療が続きますし、未発症でも精神的な苦痛は計り知れません。

今回は、b型肝炎に感染した場合、国の責任を請求する上で問題となる除斥期間について詳しく紹介いたします。

b型肝炎の罹患に対しては、国が責任を負う

厚生労働省の公表によると、b型肝炎の感染者数は、現在の日本国内においては110万人から140万人が存在しているとされています。「関連サイト - B型肝炎 訴訟 - アディーレ法律事務所

この中で、集団予防接種等における注射器具の使い回しによって感染した方は、約40万人と推計されているようです。注射器具の使い回しが発生していたのは、昭和23年から昭和63年のことで、当該期間に実施されたツベルクリン反応検査を受けられた場合に感染の恐れが考えられます。

予防接種による感染事故に対して、国を被告とする損害賠償請求訴訟がなされた結果、平成23年6月に和解に至りました。これは国側が責任を認める形で感染者である原告側と合意をした形になります。翌年の1月には、「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」が施行され、救済制度が具体化されました。

しかし、問題は民法上の不法行為責任には、除斥期間がある点です。加害行為が行われてから20年の経過で、損害賠償請求権が失われると言う制度なのですが、これがb型肝炎の救済にも小さからぬ問題となりました。

除斥期間の詳細と特別措置

除斥期間と言う言葉は耳慣れないかも知れませんが、これはいわば時効の親戚のような制度です。民法の規定の上では、故意・過失によって損害を受けたものは、加害者に対して損害賠償請求を行うことができます。しかし、この賠償請求権は何時までも行使できるわけではありません。

損害賠償請求権は相続の対象になるので、いつまででも行使可能としておくと大変なことになります。例えば、半世紀前に亡くなった父が、生前に酔っ払って居酒屋の提灯を壊したとして損害賠償の請求などを遺族に対して訴えられても、もう証拠を集めることはほぼ不可能でしょう。

このような訴訟が乱発されれば裁判所の機能が麻痺しかねません。したがって、不法行為による損害賠償請求は一定期間の内に行うべきとされました。そのため、不法行為による損害賠償請求の期間を限定するために、時効と除斥期間と言う2つの制度が用意されたわけです。

まず、時効の方は被害者が加害者及び損害を知ってから3年間、賠償請求権を行使しなければ、権利が消滅してしまいます。b型肝炎訴訟では、こちらの時効制度は問題となりません。よって、重要なのはもう1つの制度である除斥期間の方となります。

除斥期間は不法行為の時から20年間で、請求権が消滅してしまう制度です。加害者や損害の発生を知らなくても、不法行為が行われて20年が経過すれば、問答無用で請求権を失ってしまう点で時効と異なります。さて、問題となっている集団予防接種は、昭和23年から昭和63年に行われたのですから、接種時を起算点とすると、昭和43年から平成20年あたりには除斥期間が到来してしまうわけです。

この考え方ですと、今から請求しようと考えても、すでに権利は消滅してしまっています。これでは全く被害者が救済されませんから、b型肝炎に関しての除斥期間は、慢性肝炎発症が起算点とされました。慢性肝炎発症から20年までは、請求権が消滅しません。

加えて、慢性肝炎発症から20年を経過した場合も、請求権は消失するのではなく、給付金額が減少するにとどまっています。このような特別措置によって、b型肝炎に感染している方は幅広く保護されることになったわけです。

給付額と除斥期間について詳しく

b型肝炎に感染しており、まだ慢性肝炎を発症して20年を経過していない場合には、除斥期間による影響を考えずに、給付を請求することが可能です。厚生労働省によると、除斥期間を経過していない方ならば、死亡・肝がん・重度の肝硬変を発症している場合は3,600万円、軽度の肝硬変なら2,500万円、慢性肝炎においては1,250万円が支給されるとなっています。

感染しているものの症状が出ていない、無症候性キャリアと呼ばれる方は50万円に加え、政策対応によって検査費などが支給される規定です。慢性肝炎発症後20年を経過した場合は、除斥期間を超えている計算になるので、給付金額が減少します。

慢性肝炎発症後20年を経過し、現在も治療を受けている方等の場合は300万円の支給で、現在は治療をしていない方ならば150万円となるようです。病態によって給付額が変わってくるので、これには気をつけましょう。

現在も治療を受けていると言えるかどうかについては、ALT(GPT)値の異常が認められたり、インターフェロン製剤の使用が確認できるなどの要件を満たす必要があります。

b型肝炎の具体的な自覚症状と感染を防ぐための注意点

無症候性キャリアと除斥期間

一連の救済措置の中で、無症候性キャリアとは少し特異な扱いをされています。発症した方の除斥期間の起算点は、慢性肝炎の発症となっていました。これに対して、無症候性キャリアの方は予防接種時が起算点となりますので、事実上、除斥期間はすでに経過していると考えて良いでしょう。

除斥期間を経過してしまった無症候性キャリアの方には、50万円が給付される他、特措法などに基づいて政策による対応がなされます。政策による対応は、大きく分けると3つです。定期検査に関する費用の給付や手当の支給と、母子感染を防止するための費用の支給、さいごに世帯内での感染防止にかかる費用の支給となります。

それぞれにどの程度の支給がなされるのかや、満たすべき要件などが規定されているので、厚生労働省のホームページなどでチェックしておくと良いでしょう。

給付を受けるために

b型肝炎は除斥期間を経過しているか否か、そして、どのような症状が生じているかと言ったことが、給付を受ける上で大切になります。基本的にウイルスに感染している場合には給付請求を考えることが可能ですが、認められるかどうかは、また別問題です。

b型肝炎の救済措置を受けるためには、感染している他にも、感染原因が他に無いことや0歳から満7歳までに予防接種を受けたことなどが要件となってきます。色々と法律的に複雑な面がありますので、請求を確実に行うためには弁護士のサポートを受けると良いでしょう。